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わすれない

第2章 それぞれの傷

唖然としてなにも言うことができなかった。
女も無言のまま部屋に入ろうとしてこなく、ただジィーっと私をみていた。



「あ、あの……どうぞ。」


いつまでも入らない彼女に、いくらか落ち着いてきた私は声をかけた。

彼女はゆっくりと部屋に入りドアをしめた。
私は部屋の電気を付けて部屋を明るくし、ベッドの縁に腰かけた。



「こんな時間にごめんなさいね。」




彼女はゆっくりと話した。私は椅子へ座ってくださいと言ったけど彼女はたったままだった。



「あの、、、ご迷惑おかけしてすみませんでした。 私――――。」


事情を説明しようとして話始めた私を彼女は予期せぬ言葉で遮った。





「あなた、お腹にいるのは誰の子ども?」





「えっ、、、?わ、わたしっ、、、」




「誰の子どもか聞いているの。まさか、息子じゃないわよね?」



――この人はいったいなにいってるの?話が飛びすぎてわからない。




「 まさか、、、本当に息子の……弦の子なの……!?」



わたしの話を聞かずに次々と追い詰めてくる彼女に恐怖を感じ始めた。気づかれないようにコールを押したとき、彼女が近づいてきた。

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