テキストサイズ

わすれない

第2章 それぞれの傷

「あなた…… 何をしでかしたかわかってるの?!」



ベッドの側にまで勢いよくきた弦の母親は美咲の肩を掴んだ。



「───いっ!や、 やめ……っ 」


怪我した肩を捕まれて激痛が走った。弦の母親はいまにも美咲を殺しそうなくらい怖い顔をしていた。




「美咲っ!!! あんたなにやってんだっ!!!!」


ドアがガラッと開いたと思ったとき圭介が驚いた顔をして叫んだ。




「 ……け けいすけっ………」



私が圭介の名前を呼んだとたん、弦の母親はさらに力を入れてきた。そして、顔を叩いてきた。


「この 売女!!! 弦だけじゃなく他の男にもっ!!!」




「なにしているんですかっ!?ここは病院ですよ!」


コールで駆けつけてくれた看護師さんは片山さんだった。
女が片山さんの声にピクッと反応したとき、圭介が美咲から離した。





「離しなさいよっ! この女狐め、許さないわよっ……」






圭介に押さえられながらも酷い言葉を放ち続ける弦の母親は後からきた警備員に連れていかれた。片山さんは美咲の肩をみて担当医に連絡を入れた。
そして、美咲になにがあったかを聞いてきた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ