
クリスマスに奇跡を
第1章 クリスマスに奇跡を
「祖母も息子を亡くすという罰を受けたのだ。まだ、それでも足りないと言うなら、今、君が成そうとしていることは私が引き受けよう。君までもが犯罪者になる必要はない。」
そう言うと男は悟の器械に手をかけた。
「ちょっ・・・ちょっと待って」
思わず俺は男の手を掴んでいた。
視線がぶつかり、また、沈黙が流れた。
俺は自分のことしか見えていなかった。
被害者だからと悲観していたのかも知れない。
加害者側のことなど何一つ考えようともしなかった。
俺は気が付けば男の腕に縋り付くようにして泣いていた。
それから暫くして俺は悟を一人残して退院した。
それでも、病院には毎日通っている。
悟のそばにいるために?
++++++++++++++
いくら部屋の中が暖かいといっても窓辺は冷える。
チラチラとあの時と同じように雪がチラつく。
どうりで寒いはずだ。
俺はぶるっと一つ身震いすると悟のベッドの傍らに座り、手を握った。
温かい。
俺は生きようとしている悟を殺しかけた。
未遂とはいえその罪は消えるものではない。
あれから何年もの間、考えていた。
このまま、傍にいてもいいものかと・・・。
もう、5年だ。
ちょうどいいのかも知れない。
「悟。今年はあの時のようにホワイトクリスマスだよ。・・・おやすみ。」
そう言うと俺は悟の手の甲に口づけを落とした。
最後の別れを意味して。
暗い室内で悟の頬に一筋の涙が流れていた。
そう言うと男は悟の器械に手をかけた。
「ちょっ・・・ちょっと待って」
思わず俺は男の手を掴んでいた。
視線がぶつかり、また、沈黙が流れた。
俺は自分のことしか見えていなかった。
被害者だからと悲観していたのかも知れない。
加害者側のことなど何一つ考えようともしなかった。
俺は気が付けば男の腕に縋り付くようにして泣いていた。
それから暫くして俺は悟を一人残して退院した。
それでも、病院には毎日通っている。
悟のそばにいるために?
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いくら部屋の中が暖かいといっても窓辺は冷える。
チラチラとあの時と同じように雪がチラつく。
どうりで寒いはずだ。
俺はぶるっと一つ身震いすると悟のベッドの傍らに座り、手を握った。
温かい。
俺は生きようとしている悟を殺しかけた。
未遂とはいえその罪は消えるものではない。
あれから何年もの間、考えていた。
このまま、傍にいてもいいものかと・・・。
もう、5年だ。
ちょうどいいのかも知れない。
「悟。今年はあの時のようにホワイトクリスマスだよ。・・・おやすみ。」
そう言うと俺は悟の手の甲に口づけを落とした。
最後の別れを意味して。
暗い室内で悟の頬に一筋の涙が流れていた。
