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Sky Blue

第7章 解放区

「………助かったよ、
悪かったな……







―――――九条。」



今も肩を支えてくれている泉の手を払い、教師の元へと自ら歩み寄る。


その冷た過ぎる声音に永斗自身驚いたが、それ以上に泉が反応したのが気配で判る。
それでも永斗は振り向かなかった。



この気持ちは何だろう……切なさや悲しみが込み上げる。


これは八つ当たりだと判っていても自分を止めることが出来ない。



「……では、お先に失礼します」

気まずい空気を先に動かしたのは泉だった。



教師と挨拶を交わし泉はその場を離れる。
階段が永斗側にある為近くなる足音を背中で聞く。

顔を見ることなど出来なかった。ただ俯き、黙り込む。
そして真後ろで音がしたその時、微かに泉の声を聴いた。
強くなる風や押し寄せる波の音にかき消されそうな程小さな声で………







「ありがとう…………」







聞き違いなどではない。確かに泉はそう言った。

恐る恐るというようにゆっくりと顔を上げ、振り返る。





そこには、あの時と同じ表情をした泉がいた。


駅で別れる時に見せた、今にも壊れそうな哀しい眼をした泉が………




「っ、イズ」

「――――名取……」




この瞬間、



何かが壊れたような気がした…



胸を刺す喪失感。



まるで大事なものを手放してしまった後のような…………



徐々に小さくなる泉の後ろ姿。

先程まで忘れていた肘の傷が、妙にズキズキと痛み出す。




まるで胸の痛みにも似て………







――― A continues to the following chapter.
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