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運命に導かれて

第5章 愛の行方

「今宵はわざわざお越しいただいてありがとう!晩餐をともにするのは、何年ぶりでしょう。あの悲しい夜………それ以来でしたな」

王が挨拶をはじめた。

この言葉で、隣国の王妃はハンカチをとりだした。


「あの忌まわしい話をむしかえすことをお許しいただきたい……。心待ちにした姫が誕生して、3年ほどだったか……。わたしは、息子のオルフェウス王子と、あなたがたのご息女ティアラさまを許嫁としたのです」


オルフェウス王子は、悲しい顔をした。

ディアナはテーブルの下で、そっとその手をとった。


「わたしどもも、姫のことを一度も忘れたことはない!このオルフェウスは特に、彼女を忘れられなくて、他の誰をも嫁にしようとは思えなかった。しかし、ついにこの息子も妻を迎えることになりました!」


隣国の王と王妃は、涙ながらにおめでとうと言った。


「あなたがたの国との絆を強くしたいと願った気持ちは、今でも変わりはありません。」

「わたくしもです」


「もちろん、わたくしもだ!」


王と王妃、王子と、隣国の王と王妃は、互いに握手を交わしあった。

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