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赤い花~情欲の檻の中で~

第5章 終章~再びの砂漠にて~

 いつだったのだろうか、まだ付き合い始めてまもなくだったと思う。彼との出逢いは営業部と人事部の合同会議がきっかけだった。福山雅治に似ていると社内でも有名なイケメンが声をかけてきてくれ、私は舞い上がったものだ。
 写真の中の二人は笑っている。祥吾もそれなりに愉しそうな笑顔であった。もちろん、私の方は蕩けそうに幸せな顔をしている。それもそうだろう、この時は確かに彼を愛していると思っていたし、彼もまた自分を必要としてくれていると信じていたのだから。

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