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赤い花~情欲の檻の中で~

第5章 終章~再びの砂漠にて~

 写真の中の二十五歳の自分は三年先に彼との別離が待っているなんて、考えもしなかった。
 私は小さな写真を細かく引き裂いてゆく。バラバラになった紙切れを手のひらに載せると、それは一瞬で風に巻き上げられ、宙へと散っていった。更にバッグから、一輪の花を取り出す。新聞紙を解き、現れたのは赤い花。
 それはまるで、あの夜の、祥吾と別れた夜にラウンジで見た深紅の薔薇そのもののように見えた。

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