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赤い花~情欲の檻の中で~

第5章 終章~再びの砂漠にて~

 小麦色の灯に灼けた肌や彫りの深い精悍な風貌は、彼が砂漠で雄々しく生き抜いてきた民の末裔であることを物語っている。
「僕は大学で日本語を専攻したんだ。お陰で、日本から来た観光客を相手に観光ガイドをして生計を立ててる。君も日本人だろ」
 大学を卒業したというからには、若く見えるが、二十代半ばは来ているのだろう。人慣れしていない木訥な様子は、彼の控えめで人懐こい人柄を何より表していた。

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