
赤い花~情欲の檻の中で~
第3章 MemoriesⅡ
「あ、ああ。だから、先刻の電話。営業の部下に急に逢わなきゃいけなくなってな。一つ、大口の話が決まりそうだったから、ここは慎重に慎重を期していこうと、これから戦略会議だ」
この人は知らないのだろうか。嘘をつくときには、彼は意味もなくネクタイを引っ張るという癖があることを。
三年という月日は、つまりそれだけの長さであったということでもある。祥吾は美華子という女の内面は少しも見ようとせず、ただ身体だけを飼い慣らし、どこを責め立てれば反応するかを知った。そして、美華子は祥吾について、彼本人が気づいていないような癖を知った。
この人は知らないのだろうか。嘘をつくときには、彼は意味もなくネクタイを引っ張るという癖があることを。
三年という月日は、つまりそれだけの長さであったということでもある。祥吾は美華子という女の内面は少しも見ようとせず、ただ身体だけを飼い慣らし、どこを責め立てれば反応するかを知った。そして、美華子は祥吾について、彼本人が気づいていないような癖を知った。
