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海蛍

第7章 雨 時々 心嵐注意報

そんな私と対照的に朝から上々な雅人は

「旨い!やっぱ蛍のご飯は最高っ!」

と朝だからさほど大した物は作ってないのに褒めまくる。

人間、褒められると嬉しいもので不機嫌が緩和。


「なっ?旨いだろ?遥人!」

なっ!?!?
そっちに振るの!?

絶対貶される・・・!
昨日散々貶されたし!


思わず怖くなってギュッと目を閉じる。

「・・旨いよ」

―――え?

「だろ?!蛍の料理は絶品なんだぜ!」

「うん。」

雅人はハルの返事に更に気分上々。

ハルは黙って食す。

私は・・・


貶されると思って覚悟してたのに真逆な言葉で一気に脱力感。

“旨い”て言ってくれた!

嬉しくて思わず顔がニヤけ顔。

同時にホッとしたせいか私の視界が涙で滲む。


私はそれを2人に悟られないように黙々と目の前の朝食を食べ続けた。

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