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海蛍

第8章 戻らない。戻れない。

ハルに掴まれてる腕を見ると余計涙が止まらなくなり家に着くまで涙が止まらなかった。


その間ハルは手の力を弱める事も強める事もなく一定の力で握ったまま私の1歩前を歩いてた。


・・・こんな状態なのに。


怒られ怒鳴られ引っ張るように掴まれてるだけなのに。


“このまま・・”


なんて思ってしまう。


“このままでいいからもう少し・・”


なんて思ってしまう私はバカだろう。



何故あの場所にハルが来たのかという疑問よりも

今こうして繋がれてる腕の事の方が私の中で重大性が大きく

こんな状態でもいいから、時間が止まれば・・って思いながらハルの大きな背中を見つめた。


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