
許嫁から始まる恋
第8章 EPISODE #8
私は頷くことしか出来なかった。
怖かった。
手が、足が、体全てが震えて、
本当に怖かった。
「小春今日は帰ろう?
これ以上あいつの傍に居させたら
俺が心配だ」
遥は私の肩を支えながら
私を立たせて、職員室へと向かう。
「待ってて。」
「…ん」
私は頷き遥は職員室の中へ入り
未来先生と話して自分の鞄を持ち
私の元へ戻ってくる。
「行こう」
遥は私の背中に手を置いてゆっくりと
歩き出す。
靴を履き替え、駐車場へ向かい
黒い軽自動車に近づき鍵を開けて
遥は乗り込む。
私は戸惑っていると助手席の窓が
開いて"助手席においで"って
甘い声で言われたら誰だって
助手席に乗っちゃうよ。
