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それでも、私は生きてきた

第45章 私は、何処に帰るの?

母の笑顔に対し、
私の表情は、
酷く不機嫌に見えただろうと思う。


須藤さんは、

ユリ、素直になれよ。

私の肩を軽く叩きながら、
どこか心配そうな顔を見せた。



うちの娘がお世話になりまして〜
本当、すみません〜



笑顔を絶やさず、
母の甲高い声が響く。



会うのも数年振りなんでね〜
ね、ユリ?
この子、昔から素直じゃないから〜
もう〜すいませ〜ん!




私の心は、
天秤をユラユラ揺らしながら
期待と不安の渦に巻かれていた。


この笑顔は、
本物なのか。


親の笑顔を信じれない娘。
だなんて、
酷い娘だ。
と、
自身に囁きながらも、

ツンとした態度を
抑えられずにいた。



ユリは、このままお母さんとご実家ですよね?


須藤さんの言葉が、
母の甲高い声を横切る。


ドクン…
と、
心臓が波打つ感覚を
今でも覚えている。

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