それでも、私は生きてきた
第45章 私は、何処に帰るの?
須藤さんに
最後の挨拶と会釈をし、
母と並んで歩いた。
母の車にたどり着き、
荷物を乗せる。
母は運転席。
私は助手席に。
……………。
どうすればいい?
沈黙を破ったのは、
母の一言だった。
こっちこそ、
どうすればいい?
なんだけど。
変わらず、
不安と期待に包まれた私の言葉は、
宙を舞う。
お母さんは、
刑事さんに呼ばれたから…
主人にも相談してるので、
あとは、ユリ次第かなって私は思ってて…
ねぇ?ユリ?
先程、
須藤さんの質問に答えた母の言葉。
その母の言葉への期待。
須藤さんから聞いた、
刑務所から出さないで。の不安。
葛藤は、
早くもゴールを迎えようとしていた。