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それでも、私は生きてきた

第76章 選ぶ道

彼が帰って来ない日々がだんだんと
当たり前になっていった。

その間に、

この足を治療し、働ける体にするにはどうすればいいのか。
を、
ひたすら考えていた。


彼とは、以前から相談してきた。

調べれば調べる程、
自分の足には不安が募ってゆく。

最終的には、

人工骨に置き換える治療法が多い。
人工骨の手術費も、安いものではない。

年齢と共に、痛みは増してゆく事をネットの情報から知っていた。

20代半ばの時に突然の痛みに襲われた。
自分の足は、痛みの発症が早すぎた事も知った。
保存療法として、リハビリを繰り返し筋肉を付けて骨への負担を軽減させる事が望ましい事も知った。


リハビリ出来る環境を整えたい…。



その想いに彼も賛成の意思を見せ、
何度か
生活保護の相談にも同行してくれていた。


でも、

過去の火事による逮捕が
大きな壁となっていた。

単身生活そのものを否定的に捉えられてしまう。


母親に相談を持ちかけた事もあった。
発症したばかりの時にも断られていた事もあり、

彼に間に入ってもらい
母に相談をしたが、

第三者の彼を挟んだ事により

母には恐喝だと警察に相談した。と、
言われてしまった事もある。



頼る先はない。

自分自身の足を治療したい。
自身の体で働ける状態になりたい。

その想いを与えてくれたのも、

赤ちゃんの存在だった。

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