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それでも、私は生きてきた

第76章 選ぶ道

単身生活を作りたい。と、

友人、知人に手当たり次第、相談をした。

賃貸の探し方さえも知らない。
アパートの契約に必要な事さえも知らない。

何も知らない世間知らずに生きてきた私。


恥をかくことも嫌がり、
当たり前の知識さえも身につけず、
生きてきた。


周りの友人達は、
皆、
嫌がりもせずに

丁寧に一つ一つ、
知識を与えてくれた。


いらなくなった家具や家電を譲るよ。と、
声をかけてくれた友人も居た。

アパートの資金に…と、
差し出してくれた友人もいた。

物件探しに付き合ってくれた友人もいた。

アパートに家具や家電を設置してくれた友人もいた。

必要最低限の日用品を譲ってくれた友人もいた。



一つ一つの準備を整え終わるまで、
彼には伝える事ができなかった。



私の中では、
とても大きな悩みだった。


何度か、
赤ちゃんの話を持ちかけた。

その度に、
後ろめたい表情をしながら
話を切り上げる彼を見て


私は彼をまきこんでいるのではないか。と
思い始めていた。


2人の命だから…。
と、

2人で償い続けていく。
と、

思っていたが、

彼にとっては

「償い」

ではなく、

「背負う」

なのかもしれない。と。

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