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それでも、私は生きてきた

第77章 彼のスタート

彼の仕事も忙しくなり、
夕食を共にする時間もなくなった。

互いに連絡する日もなくなってゆく。

互いに何をしているのかもわからなくなってゆく。



そんな日々を送る事が当たり前になった頃、

突然

赤ちゃんのところ行こうよ。

彼からの電話だった。


中絶手術後、体力が回復し始めた頃。

彼から
供養に行こう。

私の手を引いてくれた。


また来ようね。

と約束してから1年間。

どんなに頼んでも
どんなに行きたい。と言っても

彼の口からは、

断りの言葉ばかりだった。


暑い日差しの中、
長い階段を登り

赤ちゃんの元へと向かった。



私の中では。

2人で
赤ちゃんに会うのは

きっとこれが最後だと思った。

同時に、

彼には
もう背負わなくていい。

と願うようになった。












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