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遠い幼なじみ

第8章 適わぬ人

静「あ、そうなの?
私は喜多田静流。よろしくね」



静流先輩が、私を見てニコッと微笑む。





「あ…え……」





声が、出ない………













浩「あ、そうだ。今日、良いもの買って来たんだ」



静「良いもの??」





浩先輩が、買った袋を差し出す。






ズキンッと心が一際高鳴ると同時に、呪縛がとれた様に頭が真っ白になった。











ブチッ!!





痛々しい音と共に、私は貰ったピンを取った……というより髪と一緒に引きちぎった。



そしてそれを先輩に突き出す。














「せんぱ……私、これ、やっぱいりません……!!」




手の、震えが止まらない....










浩「え?なん………」


「いーからっ!!!」








ドンッ












私は力任せに先輩を突き飛ばすと、先輩はバランスを崩して体を地にうちつけた。












浩「てぇ………」




「っあ……………」






ど、しよ......







私は怖くなり、ピンを落として走ってその場から逃げ出した。













後ろから、浩太郎っ!という、おそらく静流先輩のものであろう声があがる。







私は振り返る事もしないまま、ただただ走った。

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