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妹えっち!

第2章 予想外の攻撃性







「先生にはああ言ったけどな
璃乃の味方だからな
お兄ちゃん怒ってないからな」



 璃乃は二人きりの家で
 兄に抱きついた

 お兄ちゃんの前では璃乃は甘えんぼのべそっかきだった



「やりすぎたのはわかるな?
お前は合気道やってて
周りよりずっと強いんだ
力に物を言わすのはよくない」
「………うん…」
「わかってるならいい
やり返すなとは言わないから
自分で善悪を区別しろ
加減、できるな?」
「うん、できる」



 夜遅くまで話した
 璃乃はいじめの事ややり返した事情を事細かに伝えた

 先生は暴力的と言って取り合ってくれなかったが、お兄ちゃんは否定を挟む事なくただ聞いてくれた

 わかってくれた
 信じてくれると信じてた
 嬉しかった



「つらかったな」
「んーん、ぜんっぜん!
お兄ちゃんがいるから平気!」
「俺は何もしてないよ」
「いるだけでいいの!」



 璃乃はもぞもぞと距離を詰める
 お兄ちゃんを抱き枕にする
 照れくさくて赤くなる
 布団の中でお兄ちゃんとひそひそ内緒話してるとどうしてもテンションが上がってしまう

 眠るのがもったいない



「強くなったな璃乃は
いじめなんかに全然負けてない
下を向いたりしない
それってすごい事なんだぜ?」
「えー?お兄ちゃんが強くなれって言ったんだよ?
でも思いっきり本性見せたから
もう大丈夫かも」
「璃乃は怖いからな
稽古や試合になると鬼だ」
「違うもん怖くないもん!」



 璃乃はムキになる



「お兄ちゃんのが鬼だよ!
空手の大会、見てたんだから!」
「そりゃ全力の試合だからな
敵を潰す事しか考えてねぇ」



 運がなかっただけだ
 璃乃が見た所、実力では上回っていたように思う

 組み合わせが悪かった
 トーナメントで強い人ばかり当たって体力が削られた

 お兄ちゃんは準優勝だったが
 内容を考えればほとんど優勝みたいなものだった



 それでも周囲の評価は
 優勝者ばかりに向く

 誰もお兄ちゃんを見ない
 璃乃は納得がいかなかった



 お兄ちゃんはすごいのに…



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