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妹えっち!

第1章 仲のいい兄妹





 ††




 当時璃乃は小学2年生

 家事の全般は親が契約してくれていた家政婦が賄ってくれたが、愛情まではそういうわけにいかない



 元々人見知りだった璃乃はますます塞ぎ込むようになり、コミュニケーションの低さを露呈すると、クラスの仲間の輪から弾かれがちになった



 自分でもどうしていいのかわからないのだろう、次第に璃乃は峰斗の前でしか笑わなくなっていった






 陰気な女の子
 両親と暮らしてない
 話しかけても無視する
 笑わない、下ばかり向いてる

 いじめられる理由には
 十分すぎる材料が揃っていた






 一年が経ち
 璃乃は小学3年生になっていた



 ある日の夜
 寂しがり屋の璃乃は兄の布団でずっと一緒に寝ていたのだが、丸くなって泣き出してしまった



「…どうした?」
「学校行きたくない」
「どうして行きたくないの?」
「いじめられるから…」



 峰斗は落ち着くのを待って、ゆっくり話しかけた
 璃乃もゆっくり自分の置かれた事情を説明した

 璃乃は頭は悪くない
 ただ感情を表に出す事が苦手だから勘違いされてしまうだけだ



「突き飛ばされたり
意地悪されたり皆に笑われたり
イスがなかったりするの…」



 璃乃が再び泣き出すと
 峰斗は唇が切れるくらい噛んだ



「璃乃、嫌われてるの…」
「お兄ちゃんは璃乃が好きだよ」



 抱きしめた
 背中をさすった
 頭をよしよしした

 それらの全てが
 なんの解決策にならなくても
 そうせずにいられなかった



 自分だけは大好きだと
 何があったって味方だよと
 璃乃に知ってほしくて
 抱きしめて何度も励ました



「お兄ちゃんは大好きだよ」
「…うん…」



 璃乃は暖かくて
 泣きたくなるくらい暖かくて
 峰斗は胸が苦しくなる

 笑っていてほしい
 璃乃が笑っている顔はどんな女の子よりかわいいのにどうして誰も気づかないんだろうと思った



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