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妹えっち!

第3章 妹の淡い夢







 愛梨は前の席のイスを借りて座った峰斗に飛び上がった



「これ、テスト?
そっか見直してるんだ」
「ほ、ほほ峯北凰くん
だっだめだよ、わ、わたしなんかと話したらだめだよっ」



 愛梨は下を向き、長い前髪をさらに下げて上擦った声を出す



「いいからいいから」
「で、でもっ…」
「勉強好きなの?」
「わ、わたしバカだから…
塾いってるのにいい点数取れなくて
だから何度も同じとこやらなきゃ覚えられないんだ…はは」
「いいじゃん
誰にでもできる事じゃないよ」



 自分の勘違いかもしれないが、まさか誉められた?と思って愛梨は前髪の下でカァァと赤面する



「俺さ、ここ間違えたんだ」
「え、この問題?」



 愛梨も難しいと思った文章題だ

 ずっと考えてたら閃いて
 丸をもらえたのが嬉しかった



「よかったら教えてよ」
「え、で、でも…ほ、峯北凰くんにわたしなんかが」
「名字言いにくいでしょ?
名前でいいよ…って知らないか」
「あっ、いや、知ってます!
あ、じゃなくて、みんな呼んでるしっ
べ、別に深い意味は…」



 愛梨は赤くなって縮こまった
 男子が騒いだのはその時だった



「峰斗が静森に話しかけてらー!」
「やめとけよ峰斗ー!」
「静森なんかブスだし
いっつも暗いしさー、なぁ?」
「ヒューヒュー!もしかしてこのまま付き合っちゃうのかぁ?」



 はやし立てる男子
 身分不相応とでも言うように女子からクスクス笑いが聞こえる

 愛梨は俯いて唇を噛んだ
 自分がみじめでこっ恥ずかしくて死にたかった

 話しかけてくれた彼に飛び火した事が申し訳なくて仕方なかった



「お前らバカか?
ブスブス言うんじゃねぇよ
3、4年後にはどうなってるかもわからねぇのによくそんな事が言えるな」



 しん、と静まり返った
 だれも言い返せなかった



「で、ここなんだけど」



 愛梨はじわりときた
 峰斗にとっては取るに足らない発言だったのかもしれない

 デブなのもブスなのも
 自分が一番よくわかっていた
 でも、なんだろうこの気持ち
 泣きたかった

 綺麗になりたい
 かわいくなりたい

 愛梨は強くそう思った



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