妹えっち!
第3章 妹の淡い夢
あれから璃乃をいじめる人間は極端に減った
お兄ちゃんに言われて璃乃は頭を使うようになった
大事にならない程度なら
多少の無茶は許される
そんな暗黙のルールは
むしろ粗暴な璃乃に味方した
勉強も運動も文句なしにすごい璃乃は徐々にクラスで幅を利かせ始め、攻撃してくる者にだけ容赦なくサディスティックになった
付け入る隙がなかった
女子のくせに
クラスで一番ケンカが強かった
敵でいるより、味方になったほうが得策だった
璃乃は味方には優しかった
少しずつ、友達も増えていった
そんなある日の2月
バレンタインの日の事だった
璃乃は兄と一緒に帰るため、6年生の教室に向かっていた
「お兄ぃ――」
開きかけた口が閉じる
出かかった声が消え入る
お兄ちゃんは女子から
かわいい包装をもらっていた
璃乃はフリーズした
バレンタイン…
「う、受け取ってほしいの!」
「俺に?ありがとう」
笑顔で受け取る峰斗を見て
チョコを渡した女子は走り去った
お兄ちゃんは大事そうに
かばんの中に仕舞った
なんで自分はこんなに
目がいいんだろう
かわいいラッピングは
いくつもかばんの中にあった