妹えっち!
第5章 離れる兄妹
それからの峰斗は
まるで別人のようだった
極力、妹に構わない
近づかない、話さない
前はあれほど璃乃が寂しくないように妹にじゃれつく兄の演じていたのをすっぱりやめてしまった
璃乃は自分の部屋で
する事がなくて机に向かっていた
時間が無為に流れていく
退屈で寂しい思いがあった
何かを望むように一階に行き
ソファーに座ってテレビをつける
番組はお笑いだったが、急に涙が込み上げて璃乃は泣いた
いつもはこの時間
兄妹でだらだらしていた
リモコンを争って
ソファーの上で暴れた
笑いながら奪い取っていた
手加減してくれるから勝てた
眠くなると寄りかかった
甘えが抜け切らなくて
峰斗のそばで璃乃は寝たがった
二階まで兄に抱っこで
運んでもらうのが好きだった
その瞬間だけお姫様になれた
でも今は顔すら見てくれない
「俺、部屋にいるから」
「勉強しようかな」
「友達と遊びに行ってくる」
「宿題あるから明日な」
明日なんかなかった
あれから一度も遊んでくれない
うざい?お兄ちゃんが?
一度もうざいと思った事のない璃乃を待っていたのは、救いのない寂しさと身を切るような後悔だった
どうしてこうなったんだろう…
(私が悪いんだ…)
自分がお兄ちゃんを傷つけたのだ
璃乃は自分がこんなだから峰斗に嫌われてしまったと思っていた