妹えっち!
第8章 コンビニ
「…なに?」
ほら、守ってくれる
お兄ちゃんが大好き
喧嘩してても
どんなに溝があっても
いつだって私を守ってくれる
小さい頃からずっとそう
不良の手はお兄ちゃんに遮られ
私の所までは届かない
「はぁ?何ってそっちが急に…」
「いてぇだろ、謝れよ」
「はぁ!?」
問答は長く続かなかった
お兄ちゃんは一人を羽虫のように数m
ふっ飛ばし、そいつは待てども起き上がらない
次のやつの胸ぐらを掴む
「なんなの?お前」
「て、テメェーがなんだよ!?」
「さぁ?」
バキィッ
加減してるとはいえ
お兄ちゃんの一撃は重く、殴られた男は呻いて立てない
「おいおい逃げんなよ」
「は、離せ!離せよテメェ!」
「呼べよ、仲間」
「はぁ!?」
「やられっぱなしでいいのか?
ないだろ、そりゃ
呼べよ10人でも20人でも」
正気の発言とは思えない
最後の一人はゾッとしたように口元を引きつらせている
「で?この子が何かしたの?」
「そ、そいつがいきなりヒザかましてきたんだよ!ざけんなよ!」
「男なら大目に見てやれよ
お前女の子殴んの?
それとも何か別の目的が?」
ギリギリと片手で頭蓋骨をロックされて男が顔を歪める
「犯しちまおうと思った?
わかるよ奇遇だな
すっげぇ美味そーだもんな
俺も同じ事考えてたわ」
「ぎぎっ…イテェ!離せコラ!」
「けどまあ、悪いな
俺の獲物だから渡さねーよ」
お兄ちゃんは手を離した
「呼べよ、仲間いんだろ?
10人20人をよ、全部ぶっ飛ばしてカッコいいとこ見せたら、この子ヤらしてくれるかもしれねぇからさ」
点数稼ぎ、とお兄ちゃんは笑う
あくまで他人を装うらしい
恨みを買っても私に危害が及ばないように配慮してだ
余裕の態度と不敵な笑みに底知れない恐れを抱いた不良は尻込む
その疑念は正しい
何人集まろうが、お兄ちゃんが倒せるとは思えなかった
私は背中に抱きつく
「…も、いいよ」
「よかったな許してくれるそうだ
この子の優しさに感謝しろよ」
正義ぶる言い草にも
なにひとつ言い返せない
不良はがっくりうなだれていた