
私
第8章 午前7時
「そうね、
今日は凄い嵐だけど、ここは関係ないわよね。」
「ええ、
ここは百合子様、
貴女の為にあるんですよ。」
「嬉しい、
素敵だわ。」
「貴女がお望みになれば、いくらだって集まりますよ。嵐なんて全く関係ありません。」
「そうね、
そうだわ。」
「でも、後で更に貴女の為に来客がおありとお伺いしておりますよ。貴女ももっと着飾らないと。」
「この姿じゃ、駄目かしら?」
「以前から、
なりたがっていた格好が一番お似合いだと思いますよ。
実はそれが本当の貴女なんですから。」
「そうね、
着替えてくるわ。」
「お約束ですよ。」
優しい笑顔で赤ワインを出してくれた。
豊潤な甘さで、口のなかを包み込むような今までにない格別な味がした。
