テキストサイズ

第3章 一年前




今は何事も無かったかのように民江が私の身の回りを全て見てくれる。



夜眠る前も私の癖毛を柘のクシに椿油を軽く付けては手入れをしてくれていた。



「民江さん、
私の髪ゴワゴワしているでしょう。」




「いいえ、
百合子様は気にし過ぎですよ。」



ゆっくりと解かしながら微笑んだのが分かる。



「民江さんの髪が羨ましいわ。」



「私は百合子様の髪が羨ましいですよ、まるでパーマネントをかけたように波打ちが美しいですわ。」



「嬉しいわ、民江さん。」



とても心地よい時間だ。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ