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運命操作

第1章 そして物語は動き出す

気がつけば、朝。うっすらと開けた目から光が差し込んで眩しい。いつのまにか、寝てしまっていたようである。あの声は夢…か。どんな声だったかすら思い出せない。

と、ふと気づく。指に糸のようなものが結ばれていることに。目で先を追うと、くるくると螺旋を描いたり、曲がりくねりながら、扉の外まで伸びている。それは、果てしなく続くように思われた。

「もしかして…」

運命が見えるって…このこと?

夢を見ているような感覚が、まだ抜けなかった。そんな夢うつつの状態のまま、あたしは学校へ向かう。

一歩外へ出ると、何万本、何億本の糸が、四方八方へ伸びていた。足を引っ掛けてしまうのではないかというほど。町を歩くどの人の指にも、糸が結えられていた。

それらは絡み合い、交差しながら、どこまでも続いている。

あたしの糸の先を探す。複雑に絡み合っていても、自分の糸がどれかわかる。導かれるように辿っていくと、それは学校へと続いていて、その先は――

「……あ」

青木であった。

「おはよう、日向。好きだ」

この男も、よくもまあ飽きもせず、ここまで想い続けられるものである。

「もう…」

「付き合いたくなったのか?」

「…ならないよ」

「そっか…」
気のせいか、一瞬、青木が表情を曇らせた。

「行こうか」
青木は笑顔で言った。

え、一緒に行くの、と思いつつも、あたしはそのまま青木と教室へ向かってしまった。





           第一章 完

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