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運命操作

第2章 運命操作?

夢じゃなかったんだ。

授業中、ぼんやりと指を眺める。糸が結びつけられているのは、結婚指輪と同じ、左手の薬指。日本でよく言われるものとは違うようである。

糸の先は…。

ちら、と隣を見る。青木は黙々と黒板をノートに写していたが、視線に気づき、こちらに顔を向けた。あたしは慌てて目を反らす。

そういえば、糸の途中、結び目があった。あれが、操作された証のようなものであろうか。

ということは、本来繋がっていたはずの相手にもあるのか。中村の手元を見ると、薬指から続く糸のすぐ先に、あたしのものと同じような結び目を見つけた。

…あの話は本当だったの?

悶々と考えていると、鐘が鳴り、授業が終わった。席を立とうとした時、誰かに肩を叩かれた。

「なずな!」
梨花の声。振り返ると、友人二人が立っていた。

「今日、体育大会で選手決めするって」

「さっき、隣のクラスのコに聞いたの~」
と、いつもののんびりとした口調で言う楓。

「何に出る?」
梨花が言う。

「うーん…どうしようかなぁ」

「まあ残ったやつから決めればいいんじゃない?楽そうなのは競争率高そうだし」
楓とあたしが二人して悩んでいると、梨花がすっぱりと言った。

「梨花はそれでいいかもね。運動神経いいもん」
あたしの言葉に、うんうん、とうなずく楓。

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