運命操作
第1章 そして物語は動き出す
朝8時すぎ。学校へ登校してきたあたしは、下駄箱を前に、深くため息をついた。
「またか…」
封筒の山。その量は、隣の靴になだれ込むほど。自分の上履きは埋もれており、このまま取り出したら絶対にバラバラと床に落ちるであろう。
因みに、これらの差出人はすべて一人である。さらに困ったことには、これらは単なる手紙ではなく、愛を綴ったものであった。これがダイレクトメールやその類ならば、処理はいとも簡単、即ゴミ箱行きなのであるが。
一見周囲もいじめかと見紛うほどのラブレターが、ある一人の男の手によって、“ほぼ毎日”、このようにしたためられている。
一通、二通なら、「まあ!」「うれしい!」「キュン!」となるのかもしれないが、ここまでくると、嫌がらせだろうかと考える。いや、だろうかじゃなく、もはや嫌がらせの一種である。
なぜこうなったか、遡ること数ヶ月。単刀直入に言うと、あたしは失恋した。
ずっと想いを寄せていた、中村茅(ナカムラ チガヤ)。彼は1年B組のクラスメートで、入学したての頃、席が隣になったのをきっかけにちょくちょく話すようになった。
だが当初のあたしにとって、彼はあくまで“よく話す隣の席の男子”であって、恋愛対象として見てはいなかった。
「またか…」
封筒の山。その量は、隣の靴になだれ込むほど。自分の上履きは埋もれており、このまま取り出したら絶対にバラバラと床に落ちるであろう。
因みに、これらの差出人はすべて一人である。さらに困ったことには、これらは単なる手紙ではなく、愛を綴ったものであった。これがダイレクトメールやその類ならば、処理はいとも簡単、即ゴミ箱行きなのであるが。
一見周囲もいじめかと見紛うほどのラブレターが、ある一人の男の手によって、“ほぼ毎日”、このようにしたためられている。
一通、二通なら、「まあ!」「うれしい!」「キュン!」となるのかもしれないが、ここまでくると、嫌がらせだろうかと考える。いや、だろうかじゃなく、もはや嫌がらせの一種である。
なぜこうなったか、遡ること数ヶ月。単刀直入に言うと、あたしは失恋した。
ずっと想いを寄せていた、中村茅(ナカムラ チガヤ)。彼は1年B組のクラスメートで、入学したての頃、席が隣になったのをきっかけにちょくちょく話すようになった。
だが当初のあたしにとって、彼はあくまで“よく話す隣の席の男子”であって、恋愛対象として見てはいなかった。