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運命操作

第2章 運命操作?

そんな話を小声でしているうち、先生のお説教は終わる。先生の合図でクラスごとに帰っていく。

「トイレ行くね~」
ぽわん、としたいつもの口調で、隣で靴を履き替えながら楓が言った。

「あ、あたしも行くー」
梨花も言い、楓に続く。楓は、梨花でもあたしでもない方を振り返った。

お喋りしながらのんびり歩く生徒たちの間を縫い、二人はあっという間に階段を登っていった。

と、数歩先、ゆっくりと動くこの集団の中に、彼を見つける。声を掛けようとしたその時、肩に手を置かれる。

「日向」
青木であった。一人か、と言う青木に生返事をしながら、もう一度彼の方を見る。ちょうど、“彼女”が彼に話しかけるところであった。

あたしは何もせず、ただ黙々と階段を上がっていく。教室までの道のりは長かった。





           第二章 完

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