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運命操作

第3章 運命捜査!

「そこの社長の息子さんも来てて…その子もほしいって言ったんだけど、お店側の人たちの分はなくて。で、泣いちゃったの。なんだかかわいそうだったから…私が後でこっそりあげたんだ」

「それが、これ。ほら、ここに小さくTって書いてあるでしょ?私の苗字、高山だから…高山のT」

「あ……」
男子生徒の手の力が緩み、楓の腕が離れる。

「…思い出した?あれから少し仲良くなって、時々一緒に遊んだよね」
楓はお尻を払いながら立ち上がり、笑いかけた。


楓の表情に、来たばかりのあたしは梨花を振り返る。梨花はあたしと目を合わせ、にっと笑った。

二人は元々知り合い…?もしかして、本当はあの時、あの場所で、あんな出会い方をするはずじゃなかった?こうなるはずだったの?

と、その時。梨花の笑顔の後ろに、海棠を見つけた。

なぜ、彼女がこんなところに…なぜこのタイミングで?

しかも…微笑を浮かべていた。左手で髪を耳に掛ける彼女。…ここで、はっと思い出した。

選手決めの時も…そういえば、席替えの時もそうだった!


“運命を操るとき、彼女はなにかしぐさをするはずだ”


違和感を覚える出来事があった時はいつも、近くに彼女がいて…いつも、同じように耳に髪を掛け直していた。

…海棠香織。間違いない、彼女が魔女なんだ…!

あたしは拳を握り、キッと目を細めた――





           第三章 完

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