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運命操作

第4章 運命を操る魔女

あたしは走り出していた。海棠のもとまで駆け寄ると、肩をつかんだ。

「…海棠さん!」
あたしは、彼女の漆黒の目を見つめた。それでも彼女は、涼しげな表情を崩さない。

「あたし、ただの噂だと思ってた。海棠さんが美人で勉強も運動もできる完璧女子だから、皆嫉妬してるだけなんだって。そう思ってた」

海棠は、ただ静かに聞いていた。

「だけど、本当だったんだ。あなたが…あなたが魔女なんだね?」

海棠は何も言わない。

「どうして?中村くんのことが好きだから?そこまでして結ばれたいの?」

あたしが突然、不本意に失恋したのも。楓が暴行されたのも。海棠香織、彼女のせいなんだ。あなたが…仕向けたんだ。

中村くんと結ばれるために…この人は、いったいどれだけのことをしたの?どれだけの人の運命を操作してきたの?

「人の運命を変えてまで?あたしだけじゃなく、皆を傷つけるほど彼が好きなの…!?そうしてまで手に入れて、何とも思わないのっ!?」

夢の声は、“今回の”被害者はあたし、と言っていた。ということは、前にも誰かの運命を操作したことがあったのかもしれない。こういうことを…ある人と結ばれるために他の誰かを犠牲にするということを、繰り返してるのかも。

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