テキストサイズ

運命操作

第4章 運命を操る魔女

「ねえ…、黙ってないで答えてよ…!あなたは、何がしたいの?なんで魔女なんて…なんでずっとこんなことしてるの?」
あたしが肩を揺さぶっても、海棠はまったく動じない。

彼女は、絶えずうっすらと笑みを浮かべていた。

何人もの運命を操作してきた中で、あたしはほんの一部なのであろう。けれども、そもそもなぜあたしが?なぜ、中村くんが?

いったい、目的は何…?

「運命を…変えるため」
黙秘を続けていた海棠が、ぼそりと言った。

「え……?」

「あなたから彼が離れてしまったのも、高山楓があんな風に蹴られなければならなかったのも…すべて、運命を変えるためよ」

「運命を変えるためって…答えになってない。だから、それはなんで?あなたと中村くんが結ばれるように運命を変えたかったのはなんでなの?」
全くわけのわからないあたしは、まるで尋問のように畳み掛ける。

「誰かを傷つけるほど彼を好きなの?だとしても、楓は関係ないはずでしょ?」

海棠は、貝のように堅く口を閉ざしていた。…これ以上、話すつもりはないらしい。

「海棠さんは…あたしの憧れだったのに。海棠さんみたいになりたいって思ってたんだけどな」
つかんでいた肩を離す。


ガヤガヤと、お昼時の騒がしい声が校庭にこだましていた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ