運命操作
第4章 運命を操る魔女
だが、この男はさらに予想外の言葉を吐く。
「彼女と別れたナカムラチガヤが、お前と付き合い始めたっていうのは本当か?」
………。
……は?
思考が停止して、身体は一時、指先まで固まる。そして、こんな笑えない冗談を言ってるのは誰だと振り向…こうとしたが、男に止められた。
「おっと、振り向くな。…別に顔が割れてもいいんだけど、まぁ一応な」
男は続ける。
「とりあえずお前はそのまま、俺の質問に首を縦か横に振るだけでいい。どっちなんだ?本当なのか?」
男はもう一度問う。
口調は変わらず穏やかだが、答えなければ、もしくはその答えが嘘だとわかれば、なにか危害を加えるつもりであることは明白である。この男は本気で聞いている。あたしは恐怖か驚愕か、身体が震えてくるのを感じた。
――何を言ってるの、この人。そんなの嘘に決まってる。…っていうか、なんでこの人がそんなこと聞くの?
ぐるぐると考えながら、あたしは思い切り横に振った。男はそうか、とだけ言い、抑えていた口もとの手をどける。そして、そのまま振り向かず10秒待つよう、あたしに指示した。
そうして数え終わって振り向くと、人の気配は完全に消えており、歩いてきた道がただ続いていた。
第四章 完
「彼女と別れたナカムラチガヤが、お前と付き合い始めたっていうのは本当か?」
………。
……は?
思考が停止して、身体は一時、指先まで固まる。そして、こんな笑えない冗談を言ってるのは誰だと振り向…こうとしたが、男に止められた。
「おっと、振り向くな。…別に顔が割れてもいいんだけど、まぁ一応な」
男は続ける。
「とりあえずお前はそのまま、俺の質問に首を縦か横に振るだけでいい。どっちなんだ?本当なのか?」
男はもう一度問う。
口調は変わらず穏やかだが、答えなければ、もしくはその答えが嘘だとわかれば、なにか危害を加えるつもりであることは明白である。この男は本気で聞いている。あたしは恐怖か驚愕か、身体が震えてくるのを感じた。
――何を言ってるの、この人。そんなの嘘に決まってる。…っていうか、なんでこの人がそんなこと聞くの?
ぐるぐると考えながら、あたしは思い切り横に振った。男はそうか、とだけ言い、抑えていた口もとの手をどける。そして、そのまま振り向かず10秒待つよう、あたしに指示した。
そうして数え終わって振り向くと、人の気配は完全に消えており、歩いてきた道がただ続いていた。
第四章 完