『運命操作』第4章「運命を操る魔女」　41ページ

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運命操作

第4章運命を操る魔女

「ヒュウガナズナ…って、お前だよな」
真後ろから声がした。聞いたことのない声。こんな呼び止め方をするくらいである、用事も穏やかではない内容であろう。

…怖い。だが、ここで自分ではないと嘘をついてもいずれバレる。その方がまずいと思ったあたしは、こく、と素直にうなずく。

「だよなあ。さっきクラスメートに聞いたけど、わかんないって言われちゃったからさぁ、ちょっと不安になっちゃった」

クラスメート…？

「クラスメートがわかんないなんてことないよなぁ。どんだけ影薄くても、学校ちゃんと来てるなら名前と顔くらいは知ってるよな。それともお前、シカトされてんの？」
ゲラゲラと笑う声が聞こえた。真後ろからではないので、どうやら他に２、３人いるらしい。

「まぁいいや。実は、ちょっと確認したいことがあってさ」
真後ろの男が言った。口は塞がれているため、あたしは黙って男の声に耳を傾ける。

「お前のクラスのナカムラチガヤって奴、知ってるよな。なんか小耳に挟んだんだけど、最近彼女と別れたんだって？」

……え？

あたしは一瞬、耳を疑った。中村茅が海棠香織と別れたなんて話はまるで聞いたことがない。そんな雰囲気は微塵もなかったし、初耳も初耳である。