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寝取られ漂流記

第21章 20歳秋

「っと、どうしたの?」
「え?」


男が慌ててお酒を置いて、
あたしの肩に腕を回してくる。
あたしにはそれを振り払う気も起きなかった。


「そんなに嫌なら普通に断ればいいんだよ?別に泣く事ないじゃない」


あたし、泣いてる?
頬を指で擦ると、確かに頬が濡れていた。


「そんなつもりじゃ」
「ここじゃあれだな。一緒においで?」


回された腕に優しい力が入る。
なんだか、温かい。
どこかでこんな温もりを感じた事がある気がするんだけど、
あれはどこだったかな。


あたしは思わず腰を上げた。
そのまま男に連れられて歩く。


乱交状態のホールを抜けて
男が開けた扉をくぐると階段を上がる。


あたしはその間ずっと涙が止まらなくて、
どうしようもなかった。

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