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寝取られ漂流記

第21章 20歳秋

「ここ撮影の控室に確保した部屋だから今は誰もこないよ」


そう言って男に案内された部屋の中、
あたしはソファーに座らさせられた。


「隣、座って大丈夫?」


男は最初とは違って、あたしに聞いてくる。
野太いのは相変わらずだけど、
さっきまでのチャらい感じはなくて優しい口調だった。


「はい」


あたしは泣きじゃくって汚い顔を隠しながら返事をした。
目を覆っていたから見えないけど、
隣に男が座ったのが伝わってくる。


「何か嫌な事、思い出させちゃった?」


男は優しい口調のまま聞いてくる。
あたしはしばらく無言のまま、
目を覆った腕の間に作った隙間から男の顔を見ていた。


男はただただ、あたしを見つめている。


なんでか分からない。
でもこの人になら今思ってる事を話してもいいかも。




そう思えた。

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