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寝取られ漂流記

第21章 20歳秋

「なるほどねぇ」


男に質問されながらあたしは思っている事から、
今までの経験まで掻い摘んで話した。
話しながら思っている事はどんどん広がっていく。



「今の話を聞く限りだけど茜ちゃんはさ、心に大きな穴が空いてるんじゃないかな。で、その穴を埋めてくれるのがセックスだったって事じゃない?」
「そう、なんでしょうか」


自分の思っている事が正直理解できていなかった。
もう随分前の話。
今でもそれを引き摺ってるなんて思えなかった。


そんな事……ほんとに。


「今の彼氏とも一度別れてるって言ったよね?その時はどうだったの?」
「あの時は自分から言い出した事だったから、そんなには」
「そっか。なら一年経って自分を追い掛けて来てくれた時は嬉しかった?」
「それはもちろん。まさかそんな事あるなんて思ってませんでしたから」
「そうだよねぇ。でもそれが身体を求めてだったら嫌だよね」
「それが、分かんないんです。彰人―彼氏と付き合いだしてからほとんど毎日、エッチしてきたからそれが当たり前のような気もするし」


男の質問にあたしは全部正直に答えた。
本当は誰でも良かったのかも知れない。
今の思いを聞いて欲しかった。
肯定されても否定されても構わない。


ただ聞いて欲しかった。

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