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寝取られ漂流記

第21章 20歳秋

「ん、茜ちゃんたら」
「ふぇ?」


目を開けると、男の顔が見える。
男の顔を見てあたしの頭は一気に冴えた。


男に話を聞くだけ聞いてもらって、
あたしは寝てしまっていたらしい。


「そろそろ出ないといけないんだ。起きれるかい?」


男の優しい問い掛けにあたしは身体を起こした。


「ごめんなさい。あたし」
「いいのいいの。あんな話した後じゃ疲れて寝たくなる気持ちも分かるから」


男はあたしの頭をくしゃっとすると、
あたしに笑顔を見せた。


「悪いかなと思ったけど、お店の人に頼んで君の荷物は持って来ておいたよ。外は寒いからちゃんとコート着るんだよ?」
「はい」


男にあたしのコートを渡されてあたしはそれを受け取る。
この感覚、前にも味わった事がある。
話す前まではそれがいつだったか分からなかったけど、
今ならはっきり分かる。







それは…………。

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