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寝取られ漂流記

第21章 20歳秋

「さびー」


男は自分もコートを羽織ると、
あたしを連れて部屋を出た。
店はすっかり閉店の時間を過ぎているようで、ホールには誰もいなかった。


「今日はありがとうございました」


お店の外に出ると外はまだ暗くて寒かった。
あたしはお店の前で、
男に向かって頭を下げる。


「そんな風にする事ないって。なんかハズいから」


男はまたあたしの頭をくしゃっとする。
並んで立つと、あたしよりもかなり背が高い。


「それに、これで終わりにする気はないしね」
「え?」
「このまま君を彼氏の所に帰らせたら、君はこれからもこれまでと一緒になる。そんなの俺が許せない」
「それはどういう」


男の言葉の意味を理解する前に男はあたしの腕を取っていた。


「とりあえず落ち着くまでうちに来なよ。ってか来い」


男はあたしの返事を待たずして、
店の入り口の脇にある駐車場にあたしを引っ張った。

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