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寝取られ漂流記

第21章 20歳秋

「そんな、そこまでお世話になるわけには」


なんとか思考回路が追いついたのは、
駐車場を歩いて男の車の傍まで来た頃だった。
男はあたしを助手席の方に通すと、車のドアを開けてくれる。


「いいの。俺がそうしてやりたいんだから」
「でも」


あたしは車に乗るのを躊躇う。
乗ってしまったらもう戻れない。
彰人の事が嫌いになったわけじゃない。
今も好き。
でも。


「あ、もしかして俺が襲うかもって思ってる?」
「そうじゃないですけど」
「ならとりあえず乗ってくれ。お互い寒いだろ?」
「分かりました」


あたしは、覚悟を決めて男の車に乗り込んだ。
男は満足したようにドアを閉めると、
運転席に回った。


「そいや、名前言ってなかった。俺、大和。よろしくな」


大和さんはあたしをみてそう言ってから、
車を走らせ始めた。

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