無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

車のエンジンが切られたのは、
お店からそんなに離れてない普通の住宅街の中だった。
新しめのマンションの駐車場は、どことなく彰人と住むマンションに似ている気がした。


大和さんは車を降りるなり、
助手席側に回ってドアを開けてくれる。


「迷惑だったかな？」


運転中ずっと黙っていた大和さんは、
助手席から降りたあたしにそんな風に聞いた。


「え？」
「ちょっと強引だったかと思って」


大和さんは気まずそうに頭を掻く。
確かに有無を言わせない感じではあったけど、
決して嫌な感じではなかった。
もし本当に嫌なら車になんて乗らなかったし。


「いえ、嬉しかったです」
「良かった。こっち」


大和さんはまたあたしの頭をくしゃっとすると、
そのままマンションの入り口に向かってあたしを案内してくれた。