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寝取られ漂流記

第22章 20歳冬

あたしがこうして晃佑の前に座る事が出来たのは全部大和さんのお陰だった。


彰人の所を出て、大和さんのマンションで暮らし始めたのが三カ月くらい前。
大和さんの仕事は不定期で一週間家にいる事もあれば逆に一週間帰って来ない事もあった。
長期でいなくなる時は決まってリビングの机の上にお金が置いてあったけど、
あたしはそれに手を出さなかった。


彰人からは最初のうちは連絡もあったけどそれも二週間もすればほとんどなくなった。
淋しい思いもないわけじゃなかったけど、
それ以上にやっぱりって思いだった。


一カ月くらい経った頃、
一度彰人がいない時間を狙って彰人と住んでいたマンションに戻った事があった。
部屋はどことなく散らかっていたけど、
あたしの物は何も捨てられていなかった時は少し驚いた。


あたしは必要最低限の物だけを取ると、
鍵をポストに入れておいた。


彰人はそれに気付いているだろうけど、
連絡はなかった。


そして大和さん。
彼は時間がある時は全部あたしに付き合ってくれた。
旅行に連れてってくれたり、
買い物に行ったり、
二人で飲んだりもした。



それでも、




一度もあたしを抱かなかった。

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