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Pour mon cher -涙の先に-

第15章 嘘と過去

「彼女は猛司と別れて、猛司の兄貴と付き合ったんだ。」



――――え?




「元々、兄貴狙いだった彼女は猛司を使って近づいたんだ。

で、成功したから猛司は用無し。」



「最低っ!あの女!!」


美鈴は存在を知ってるようで私の隣りで怒りを露わにする。



「でも彼女が本当に好きだった猛司は彼女に【ずっと待ってる】って言ったらしくて。


だから……「その人はっ……」



「その人の“あい”は…“愛”?」



東先輩の言葉を遮り質問する。

どうしても今確認したくなって。



どうか…


どうか、違ってますように…っ!


願いを込めて両手をギュッと握って俯き目を閉じる。


でもね。


東先輩から出た言葉は、私に気を使ってくれたんだろうね?


凄く凄く小さな声で



「………愛。だよ。」

「ごめん…」って何故か東先輩が謝ってた。



けれど、東先輩の言葉を聞いた瞬間、一気に全ての音から遮断されて。



ぐるんぐるん東先輩の言葉が駆け巡る。




先輩の元カノの存在。



先輩のお兄さんの存在。



“愛”の存在。


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