S×強気で恋になる
第81章 スタートライン
時がえらくゆっくりに思えて
不思議な感覚に襲われる
目をつぶって悶えてる純平を見つめながら
俺は純平のいろんな顔を思い出していた
怒った顔
泣いた顔
恥ずかしい顔
不思議そうな顔
優しい顔
笑った顔
ベッドに運びながら
純平をまた見つめる
純平が全てを俺に委ねていて
あったかくて、確かにここにいる
この体温が本当に心地よかった
濡れた髪をかき分けると
雫が落ちて
柔らかい石鹸の匂いが香る
スラリとした手足とサラサラの髪は
女みたいに綺麗で
俺の頭の中は
興奮より性欲より
今この腕にいるこいつを守りたい気持ちと
俺でいっぱいにしてあげたい気持ちで溢れていた
たった数秒なのに
妙に幸せになって
俺
こいつがすげー好きだ
なんて、そんな当たり前のことを
また思っていた