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S×強気で恋になる

第61章 俊哉×航平

夜になり、8時間くらいかけてなんとか兵庫県に入る。神戸の住宅街は20年前と変わらず寒気がするくらいだった。

タクシーを降り
その辺を歩く

お母さん・・・あの人のところには明日の朝行こう。

釈放されたときに、弁護士に一応教えてもらった住所。腐るほど眺めたおかげで今だに覚えていた


しばらく歩くと
前住んでいたアパートが立ち並ぶ通りにさしかかる


目眩がしそうなくらい鮮明に思い出し
思い出に押しつぶされそうだった


あの時外に滅多に出れなかった俺にとって
窓からたまに見た景色

おばあちゃんが来たときに連れ出してくれて
一度だけ行ったことのある公園


幼い時はあの人の嫌いな別れた旦那の連れ子でしかなく、消したい過去そのものだった俺は
存在なんてしていなかった


真央ちゃんと新しい家族


その隣の部屋に閉じ込められたままの俺



ずっと外に出たかったぶん


窓から必死に外をみていたな




覚えてるもんだな・・・




心臓がうるせぇな

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