S×強気で恋になる
第64章 お前といるから
さっき歩いた道をフラフラと歩く
時間にして30分くらいしか経ってなかったからか、真一がベンチに座ってじっとしている姿が見えた
どうしようもない恐怖
どうしようもない怒り
誰のせいだ、とか俺のせいだ
とかそんなことではない
八つ当たりなのかもしれない
ただ話を聞いて欲しかった
だけかもしれない
うまく言葉にできないことが多すぎて
情けなくて惨めすぎて
心が決壊しそうだった
真一にむかって歩くと
真一が顔をあげた
「どこ行ってたんだよ!心配かけんな!あ?泣いた?」
「泣いてねぇ。」
「・・・・・。お土産は買えたのか?」
あぁ・・・お土産・・
あそこにぶちまけたままだな
慎吾へのキーホルダーだけ
デニムのポッケに入ってたからそれしかねぇや
「・・・・慎吾に、キーホルダー・・」
「なんだよ、俺にはねーのかよ。可愛くねーな。買ってんのかと期待、してたけど純平だもんなぁ。ないか。ほら、帰るぞ。」
そう言って立ち上がって歩き出すのに
純平がついて来ない
「なにしてる。来いってんだろ。」
「・・・買ったし。お土産・・・っく、買ってたの、に、・・真一の馬鹿!!!!!!」
は?なんで泣いてんだ
っーかどこ走ってくんだよ。
少しずつ小さくなる背中をみる、
くそめんどくせーな!!!!
追いかける方の気持ち考えろ!!!!
「純平!!!!止まれ!!!!」
っくそ、無視か!!!、
俺浴衣だぞ!?
ふざけんな!!!!!
走るならホテルに向かって走れよ
逆走してんじゃねーぞ!?
っくそー
そう思いながらイライラして走る
そんなにキツく言ったつもりもない
冗談だろ
なに泣いてんだ
っーかあいつ、足速ぇーな!
にしても
・・・あいつのあんな顔初めて見た。
あれ怒ってたよな
なんかわかんねーけど、怒ってたかんじだった
下駄がっ、足いてぇよ