狼男子の扱い方
第12章 狼が犬と化した行為
「あ、涼ちゃん…っ!」
「昨日、大丈夫だった?」
心配そうにあたしを見ながら、
となりに立つ真紀をちらりとみる。
「え、と…」
”昨日”
その言葉を聞いたことで
夜に感じた玲音の肌の感触や熱を
鮮明にからだが覚えていて、
思わず顔に熱があがった。
「みー、?大丈夫か?」
そっ…とあたしの頬に涼ちゃんが
触れる──────
────パシンッ
その手は音をたてて弾かれ、
あたしのからだは
昨夜の匂いに包まれた。
「触んな。
美華は俺のだ」
彼のその言葉で
しん…、と静まりかえった廊下は
一瞬にして女子の黄色い声と、
男子のざわつきで埋め尽くされた。
「ちょ、なにあれ!?」
「水谷ってなに!?あんなタイプだっけ!?」
「なに、修羅場?」
「水谷もすげーけど花園さんも
凄くね!?手懐けたのかよ」
……声でかいし。
手懐けるって、ペットじゃないんだから
じゃ、なくて…
「…みーを泣かせた奴が何言ってんの。
お前が離せよ」
「や、涼ちゃん…まって、」
あたしがこの状況についていけてない。
「……美華は俺んだ。
誰にもやんねぇ」
そう言えば玲音はあたしを
背後からぎゅうぅ…と抱きしめて
あたしの肩に顔を埋めた。
「っちょ、玲音!?ここ廊下…」
廊下とかの前に玲音って
こんな性格じゃない!!!
なに、どうなってんの…!?
「……知らね」
あたしの言葉も、涼ちゃんの言葉も
周りの声も全部無視して
あたしの首筋にちゅ…とキスをする。
「っん…ちょ、」
不意打ちに軽くあたしは声を漏らし、
咄嗟に恥ずかしすぎて
自分の口を塞いだ。