狼男子の扱い方
第11章 夜、正門での行為
「んじゃ帰るか」
あたしはこくんと頷き、
廊下に出る
本当なら玲音の教室を通りすぎて
階段をおりるんだけど
涼ちゃんは気遣って
わざわざ反対の階段を
使おうとしてくれた。
「…涼ちゃん、ごめんね…?」
少し前を歩く涼ちゃんに
ぽそっと話しかける
「んー?」
…迷惑なはずなのにな……。
涼ちゃんは嫌なかお
ひとつせずにあたしのことを
見てくれていた。
「…」
涼ちゃんの後ろに隠れながら
こっそりと正門をみる
が
そこに玲音の姿はみえなかった。
─まだ教室なんだ…
ホッと肩を撫で下ろし、
あたしは涼ちゃんの隣に並んだ。
「涼ちゃんっ!
今日久しぶりに昔よくいってた
クレープ屋さんいかない?
お詫び…みたいな感じで」
玲音と会わなかったことに
安心したあたしは
すぐ、涼ちゃんにそう誘っていた
「クレープって、あそこか!」
涼ちゃんも、
無邪気な笑顔であたしに笑う。
「うんっ じゃ、いこ?」
そうしてあたしたちは
門をぬけた。