夏の秘密
第8章 手がかり
総一郎「そろそろだよ」
夏「…」
結局
助手席に乗せられ
走る事数分、総一郎が運転する車はメモ
に書かれていた住所に
到着した
夏「その人、なんて名前なんですか」
総一郎「深谷明美、ある会社で働いてる
普通のOLらしいよ」
夏「女なんだ…」
総一郎「…」
兄だって年頃だし
彼女の一人や二人いたっておかしくはな
い
でも兄は
夏が気づかなかっただけかもしれないが
全くと言っていいほどに
女っ気がなかった
だから
勘違いしていた
兄に彼女なんていない
兄は自分だけのものなのだと…
総一郎「彼女の家はこの二階だよ」
夏「…」
近くに車を停め
エレベーターに乗り込み
二階の彼女の部屋へ向かった夏と総一郎
見ず知らずの相手にドアを開けるか
不安だったが
とりあえずインターホンを鳴らし
彼女からの応答を待った
しかし…
総一郎「留守かな?」
夏「…」
日曜日だし
仕事とは考えづらく
どこかへ出かけてるかと思われたが…
隣人「深谷さんに用事?」
総一郎「はい、でも留守みたいで…いつ
戻るかわかりますか?」
隣人「彼女なら引っ越したよ」
総一郎「引っ越した?」
夏「…」